flat in HACHIMAN
築20年の分譲マンションの一室を改修した、夫婦と子どもと猫、3人と2匹が暮らす住まいである。この場の魅力である、眺望そして光と風がベランダから共用廊下まで室内を貫く、冗長性を持った余白のような空間を家族が集う場とした。一方、使い方が限定される寝室、洗面、納戸、台所はできるだけ既存の位置から変えず、コンパクトにまとめることでコストを抑えた。家具や建具の標準的な高さである2メートルを基準とし、それより下は外壁からサンプリングした小豆色、それより上はコンクリートに近いグレーできっちりと塗り分けることで、外との連続性を高めつつ、ままならない既存の躯体や開口部をそのまま受け入れるデザインとした。外部環境がさらに際立つよう、隣家側の壁面は均質な全面収納として場の抽象度を高め、その上部は猫が気ままに過ごすキャットウォークとして余すことなく活用している。