house in YAGIYAMA
母屋の隣地に建つ、第二の人生をむかえる夫婦のための平屋の住宅である。
敷地は仙台市都心部を流れる広瀬川流域の南側に位置する「八木山」と呼ばれる丘陵地帯にあり、岩盤を削って昭和初期から造成され始めた、市内では歴史ある住宅地である。東隣りにはこの住宅ができるまで暮らしていた母屋が、そのほかは住宅やアパートが隣接し、四方を建物で囲まれている閉鎖的な環境であった。クライアントからは周囲の建物を気にせず生活できること。そして母屋とのつながりを考慮した明るく風通しの良い住まいが求められた。
建て込んだ周囲からの適切な離れを確保するため、敷地のほぼ中央にボリュームを置くことから検討を始めた。外周には開口部を設けず、玄関や母屋との接続口、リビングと寝室をやわらかく区切る内庭、そして明るい水回り空間となる四つのテラスをボリュームから抜き取り、そのすき間に高窓と掃出し窓を開けることで周囲に対して閉じつつ通風と採光を確保した。屋根は母屋や周囲の建物となじむように真ん中の四隅を頂点とする勾配でそぎ落とし、熱気抜きのための天窓を開け自然換気を促している。
外部であるテラスも含め、すべての部屋が等価に並ぶ平面形状は空間がどこまでも続いていくような印象を与える。その一方、内と外、木と白、フラット天井と勾配天井など、隣り合う部屋の仕様を変えることで、環境に応じて刻々と変化しつづける空間の表情はそれぞれ異なっていく。それはまるで複数のリズムが同時進行で演奏されることで独特なリズムを生む民族音楽のようであり、この住宅も個々の空間が独自のリズムを刻み、それらが組み合わさることでひとつの建築をつくりだしているといえるだろう。そのような建築ではさまざまな空間や時間が絶えず生まれ続けるため、自分が心地良いと感じる居場所を日々見つけていくことができる。例えば、孫たちが楽しそうに走り回ったり、風を感じながら家族みんなで食事をしたり、太陽の下でゆっくりと読書をしたり、星を見ながらお風呂に入ったりと。そのような想像力あふれる魅力的な暮らし方を喚起し許容する「空間のゆらぎ」のようなものをこの建築で実現できたのではないかと思う。
- 竣工
- 2012.08
- 用途
- 個人住宅
- 計画地
- 宮城県仙台市太白区
- 敷地面積
- 468.96 ㎡
- 建築面積
- 137.47 ㎡
- 延床面積
- 137.47 ㎡
- 構造
- 木造
- 規模
- 平屋建て
- 設計
- 齋藤和哉建築設計事務所
- 構造設計
- 中畠敦広+森部康司
- 写真
- 高木康広
- 受賞
- 第11回JIA東北住宅大賞2017 優秀賞
平成27年度日事連建築賞 奨励賞










